gacco インターネット@村井純【ノート】(1)

gaccoでの村井先生の講義(1)のノートをここにまとめてみた。 ※ 技術系のお話はとばしています。


1-1 インターネットの【歴史】からひもといてインターネットを理解する。

1969年 【ARPANET】 この実験からすべてが始まった。 アメリカ国防総省の研究プロジェクトとして始まった。 インターネットは軍事目的の実験が流用されたとよくいわれるが、 本来のARPANETは、なんでも高度な研究を支援するためのファウンでィングプロジェクトだった。 インターネットの始まり。

1969年 【UNIXベル研究所UNIX OSがつくられる。 ハードウェアメーカーがOSをつくるのがスタンダードだったが、 別の会社が、ハードウェアの上にソフトウェアだけをつくる。OSの開発というのを初めてやった会社。 UNIXの意味】とは、 人間のためにコンピュータを使うという考え方、発想が生まれたことに大きな意味がある。

1970年代ー80年代、 ARPANETUNIXがそれぞれ発展をする。

UNIXの発展は、 人間にとって使いやすいコンピュータ、 人間のために働くコンピュータの系譜がどんどん発展していくという形をとり、 ARPANETは、 いくつかのアメリカの大学(一部ロンドンの大学も)と大学をむすびつけて「広域ネットワーク」として発展をする。

80年代初頭、【UNIXARPANETが結婚】をする。 広がっていくネットワークと、人間が使えるコンピュータ。 この2つが合体するわけだ。

バークレー大学の学生がUNIXを改造してみようと始めたことから、 【BSD(= Berkley Software Distribution)】が生まれ、 のちに、ネットワークOSの開発とBSD UNIXが結びつき、 UNIXの派生としてのLinuxやオープンソフトウェアの走り(オリジン)になっていく。 また、人間のためのコンピュータと、ネットワークの結婚もここに始まる。 82年のことである。

その結果、 TCP/IPというARPANETから生まれたプロトコルのソフトウェアが UNIX OSのコンピュータに入ってしまったことにより、 全部自動的にTCP/IPがコンピュータに入ってしまった。 地球全体でのインターネットの誕生である。 80年代の前半に世界中のコンピュータがつながることになる。

最初は、研究所・大学が中心。 コンピュータだけでなく、高エネルギー研究などの分野も参加していた。

そこで、スイスのセルンという高エネルギー物理学の大きな研究所で コンピュータのマネジメントをしていた【ティム・バーナーズリー】という人間が ネットワークの上でのドキュメントの管理方法を一生懸命に悩んだ結果、 WWW(= World Wide Web)を発明してしまう。 90年代のことである。

70年代、80年代にインターネットの技術的な基礎ができあがった。 そこで、90年代にはインターネットの商用化が目指されることになる。 世界中の人がつながるインターネットの存在を目にしたビジネスマンはこれをなんとかビジネスに応用できないかと考えた。 そこで、90年代に日本ではインターネットバブルが起こる。

2000年代には思いもかけないことがおこった。 【Y2K問題】が起きる。 それまでにインターネットはすでにビジネスのインフラとして浸透しており、 Y2K問題は、コンピュータが壊れるんじゃないかという問題を通り越して、 「インターネットが壊れるんじゃないか」という恐怖を人々に見せつけた。 その時すでに、インターネットが世界にとって不可欠なインフラとなっていたことを物語っている。

ビジネス・経済に依存性のあるインフラストラクチャが 壊れていいのかという議論を巻き起こした。

一方、2000年代には9.11のテロを発端に、インターネットのセキュリティと安全性の議論が注目されるようになった。 9.11でメールなどを介したサイバーテロリズムが横行したからである。 インターネットは危険なんじゃないのか、という議論の始まりである。

ところが、グローバルにつながっているグローバル・インフラストラクチャの重要性に注目していたひとたちは、 「インターネットは、グローバルな空間で大事なものだ。だけどセキュリティと安全性を確保しながら展開しなくちゃいけない。人類が持っていないといけない基盤なんだ。」 ということがわかるようになった。

日本では、2011年の3.11では、 インターネットは人間を安全に、人間の命を守る手段になりうるということが注目されるようになった。

以上の内容をまとめると、 インターネットは、デジタルデータの流通の基盤をつくっていった。 そのためにつながったのは、「ほとんどすべての人」をつなげることを目指された。 やがては、人だけでなく「すべての物」をつなげることが目指され、 すべてのものをつなぐインフラストラクチャ、 グローバルな、この地球という惑星にひとつの空間をつくることがインターネットの使命とされた。


1-2 インターネットの【魔法】

インターネットを構成する3つの重要要素

  1. デジタルデータ
  2. コンピュータ
  3. <ネットワーク/li>

デジタルデータを演算で処理できるコンピュータとコンピュータがつながっているのが、 「インターネット」。

【情報のデジタル化】 ワープロ → CD → デジカメ → DVD。文字情報、音情報、画像情報、映像情報が ものすごいスピードでデジタル化された。 プロのカメラマンがデジタルカメラを使うのは、何年も先と考えられたが実際には、 あっという間に実現された。

【デジタル処理の利点】 データが数値にさえなってしまえば、演算の方法を工夫する次第で コンピュータはどんな情報も扱えてしまう。 情報の編集、大量情報の保存、情報の暗号化、圧縮も簡単にできてしまう。

【コンピュータネットワークの夢】 どんな情報も数値化できるデジタル処理と、 どんなデジタルデータも演算できるデジタルコンピュータ。 この2つをまとめて、デジタルテクノロジーと呼び、デジタルデータを 地球上のどこにいてもやりとりできるようにしよう、というのが コンピュータネットワークの夢だった。 それを実現したのが「インターネット」である。


1-3 インターネットの【原理】

インターネットは、英語で[The Internet]。 Theの定冠詞がつき、頭文字の"I"は大文字である。 これは「世界で一つの、あのインターネット」という意味であり、 インターネットを語る上での重要な概念になる。

一方、小文字での"internet"にも重要な意味がある。 ARPANETが世の中に広がっていく70年代のなかで、Ethernet、LAN(= Local Area Network)が発明された。 これが革新的だったのが、 ローカルなネットワークを独自に生成していき、やがてローカル・ネットワークとローカル・ネットワークをつなげる、 アーパインターネット、インターネットという言葉が生まれた。 このときは、ネットワークとネットワークをつなぐネットワークとしての「インターネット」が生まれた。

やがて国と国のローカル・ネットワークがつながり、世界大のネットワークとして 「インターネット」が生まれた。 これが、「ネットワークとネットワークをつなぐ、世界にただひとつの、あのインターネット」という意味の語源である。


1-4 インターネットの【アーキテクチャ】

【インターネット技術の標準化】 世界中のひとが利用するのだから、だれかひとりだけが他とは違うルールでインターネットを利用していては、 情報のやりとりはできなくなってしまう。 世界的な標準化がインターネットには求められる。 このときに取り入れられたのが、どのような仕組みを世界標準として使おうかというときに、 人間の(コミュニケーション)モデルをアナロジーして、7レイヤーモデルという考えを産んだ。 [Application / Presentation / Session / Transfor / Network / Data link / Physical]

【7レイヤーモデル】は、時代に応じて環境の変化に応じて、部品と取り替えられる仕組み、 つまり【互換性】が重要な要素として求められた。 また、参加する人の数が世界で増えていくだろうということを視野にいれた上での デザイン哲学には、【簡素化(シンプルの追究)】というのが重視された。 参加のしやすさがのちにインターネットを発展させる上で重要な価値観となっていく。


1-5 インターネットの【根幹】

The Internetの大事なことは、「ひとつの空間をつくる」ということである。 なので、ひとつの空間のなかで使用できるIDはひとつのものにしか割り当てられない。

地球全体でひとつの空間をつくるということで、 世界中のコンピュータにひとつずつのアドレス(識別子)を割り当てた。 IPアドレスである。


1-6 インターネットで【データ】を送る

インターネットの上で、データは「パケット」単位を基準に、 またパケットの仕組みを基礎にやりとりされている。

パケット方式=単位ごとのひとつひとつのデータがそれぞれに合理的に伝達ルートをたどる。 どっかをたどっていれば、必ずたどりつく。

このIPはインターネットの非常に重要な特徴、【自律分散処理】をもっている。 それぞれが独立して考えているので、部分最適な解を個々に出すような本能をもっている。

インターネットはベストエフォートのネットワークと呼ばれる。 なにがおこるかわからない不測の事態に対しても、部分部分での最適解を生み出すことで、 最適解が起こせないパケットがあっても、ベストエフォートをしたパケットがカバーをしてくれる。


1-7 インターネットに【参加するコンピュータ】